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再生医療よりもがん医療を

医療(一般)

シカゴの気温変化は激しい。10日ほど前に最低気温マイナス18度を記録したが、昨日の最高気温は22度と東京より暖かかった。外を歩くと汗ばむような陽気である。40度の激変だ。しかし、今朝はプラス1度となり、真冬に逆戻り、一転冬装備だ。明日の朝は、氷点下と予測されている。急激に暑くなる方向への変化はほとんど問題ないが、寒くなる方向への変化は、体が適応できない。

 

今日は、米国研究製薬工業協会のがんに関する2014年度の報告について紹介したい。このレポートの時点で、771の薬剤、ワクチンの検証が進められている。臓器別にみると、肺がん98件、白血病87件、リンパ腫78件、乳がん73件、皮膚がん56件、卵巣がん48件、大腸がん46件、前立腺がん45件、となっている。

 

米国で新規にがんと診断される人は、2014年で約160万人、死亡数は約60万人である。米国の人口は約3.2億人に対して日本は1.3億人弱であるが、罹患数約88万人、死亡数37万人弱の割合は米国に比してかなり高い。2014年の米国国立がん研究所予算は約6000億円である。これ以外の国家予算からの研究費が出ているので、公的ながん研究費だけでも優に1兆円を超えている。死亡数を考えると日本のがん研究費は貧弱だ。

 

がんが治癒した人たち(Survivor)は1971年には300万人だったが、2001年には980万人となり、2012年の推計では1370万人に達している。1975年から2006年の間に、5年生存率は39%改善し、死亡率は1990年以降20%減っている。5年生存率を癌腫別にみると、1975年と比して、肺がんで54%改善、前立腺がん50%、大腸がん36%、乳がん21%の改善である。がんは、治癒できるようになってきているのである。絶対にがんとは闘うべきである。

 

1988年から2000年までのがん治療の進歩によって、この間に人数X年数で2300万年・人が救われ、国の生産性に換算して200兆円の富につながったとされている。年間10兆円弱だが、2000年以降の分子標的治療薬の開発によって、がんサバイバーがさらに増加し、国の生産性への寄与は年間10兆円を超えているだろう。製薬企業団体の報告であることを差し引いても、この数十年間のがん治療の進歩には著しいものがある。しかし、治療薬の高騰による患者や国の医療費負担増という側面も考えてみる必要がある。

 

がんを治癒するということが夢でなくなりつつある現状で、日本から夢や希望を発信することがなかなかできない状況は、やはり寂しいものだ。再生医療もいいが、3人に一人の日本人が命を落とし、世界の死因の1位となっているがんという病気の克服にもっと注力してほしいものだ。

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