国立がん研究センター、解体的出直し論

国立がん研究センター中央病院(築地の病院)、日本の最高峰のがん治療病院とされてきた。確かに、5年生存率などを見ると秀でた数字が残っている。しかし、心筋梗塞や重症糖尿病など術後合併症リスクの高い患者さんたちは、外部の病院に紹介されるのだから、5年生存率が高くて当然なのだ。

 

ドラマ「ドクターX」の国立高度医療センターにあったように、リスクを冒さないことで見かけ上の高い治療成績を残してきた。「ドクターXのように挑戦する気概のある医師よ、出てこい」と叫びたい。まさに、姑息な戦術と、何も深く考えないメディアによって作り上げられた偶像である。標準治療という全国で標準的な治療を受けられることに尽力してきたことは認めるが、その一方で、マニュアル化医療を生みだし、マニュアル内容を伝えることしか能力のない医師を生み出してきた。

 

研究所に至っては、若手幹部たちが厚生労働省の研究費を牛耳り、競争に晒されることなく、研究を続けてきたため、海外からはほとんど評価されない研究組織に成り下がってしまった。がん患者のために貢献したいと入所してきた心ある多くの若者たちは、所内で生きていくために、研究者としての熱意・良心を喪失し、サラリーマン化していく。

 

大きな病院を抱えながらも、臨床と直結した研究成果がなぜ生まれないのか、その根源を変えていかない限り、日本のがん医療は再生しない。マニュアルに基づいて平然と患者や家族に余命を宣告し、それで責任を果たしている医師が、世界のトップクラスと言えるのか?患者や家族の絶望を生み出し、なにが、日本一の病院だ!日本標準治療が世界で最たるものならともかく、10年は遅れているような状況では日本の患者の悲劇は救えない。築地の病院ががん難民の最大の供給者だと批判され続けてきた現実にどのように向き合おうとしているのか?

 

国立の研究センターに期待されるのは、世界トップクラスの医療の提供に加え、患者さんの生きる望みをつなぐ治療法の提供である。その新しい治療法が、メイド・イン・ジャパンであれば、もっと、望ましい。治療法でも、診断法でもいい、研究所の成果があるなら、それをトップスピードで臨床に還元していく体制が必要だ。

 

国立がん研究センターのミッションは、日本で一番質の高いがん治療を提供することだと言っていた幹部がいたが、これでは、遠く引き離された世界の背中が、ますます遠くなるだけでだけで、すぐに、韓国や中国の国旗さえ、後ろから眺めることになってしまうであろう。国際シンポジウムを開くことで威厳を保とうとしているが、まるで戦後のの朝献外交に過ぎず、すでに世界からほとんど相手にされていない状況となっている。

 

国立がん研究センターを、世界に誇るセンターにするのは

  1. 病床の半分を臨床試験に充当する。
  2. 研究所の研究は患者試料を用いた臨床研究に特化する
  3. 創薬・診断などで企業と大胆な連携をする
  4. 第1相・第2相治験審査をセンター内で実施できる体制の構築(医療特区)。これを混合診療として実施する。
  5. 受診する患者さんには、全例がん試料の提供を求める(世界最高峰の医療と引き換えに、患者さんにも診断・治療の開発に貢献する意識を持ってもらう)
  6. 病院の採算などは無視して(もちろん無駄は省くが)、世界と競争するために必要なものは、投資として支援する体制を構築する。
  7. 欧米の追随ではなく、日本の社会的な背景を利用した研究体制の構築

などが必要ではないかと思う。循環器病センターもしかりである。

 

今の公的医療機関は、予算の締め付けで生殺し状態になっている。これでは日本の再浮上はありえない。箱モノへの投資だけでなく、教育・医療へさらなる投資をして欲しいものだ。地方創生には、地域医療の再生も欠かせないのだから。

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