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寒風の中の火災報知機

咳もようやく収まり、体を動かそうと思って、昨日の日曜日に、隣町のプールに出かけた。プールは近くにもあるのだが、水温が低くて、心臓によくないので、比較的水温の高いプールを求めてのことだ。しかし、室内、特に非常口の近くは、冷たい隙間風が入り込むので、氷点下になると暖房が追い付かない。非常口に近づくことなく、水に浸かり、久しぶりなので、目標を500メートルに設定してゆっくり泳ぎ始めた。体も軽く、快調だ。

 

そこで、背泳で50メートルのラップを取ってみた。歳のためか、久しぶりのためかわからないが、途中でふくらはぎの筋肉がつり、最後は全力で泳げず、1分もかかってしまった。マラソンで例えると、30キロを過ぎたあたりで足を痛め、4時間30分で走り切ったようなものだ。体力の衰えを情けないと思いつつも、気を取り直して泳ぎ続けていたところ、350メートルを終えたところで、突然、火災報知機がけたたましく鳴り響いた。

 

係員が、全員プールから出て、非常口の近くに集まるように指示を出す。「この寒い中、非常口??!!」と思いつつも仕方なく向かう。寒いのでバスタオルを肩から掛けるが、寒いし、うるさい。ロッカーに行くこともままならず、寒さと頭の芯に響くようなサイレン音の中、じっと耐えるしかない。火事ではなさそうだが、サイレンは止まない。消防士が確認するまで、鳴りつづけるのか?

 

公共のプールだし、道は混雑していないので、すぐに消防車が来るだろうと思いつつ時計を眺める。5分、10分経過するが、消防車のサイレンは聞こえてこない。けたたましい火災報知のサイレンは止むことなく続いており、本当に頭痛がしたきた。血圧は間違いなく上がっているので、脳出血など起こしてはたまったものではない。日本の日付では誕生日を迎えたというのに、天から迎えが来ては冗談ではない。

 

と思う中、消防車が静かに入ってきた。「はようせんかい。寒いし、頭が痛いんや!」と大阪弁で怒鳴りつけたくなるような、ゆったりした動きだ。消防車が到着後、2-3分でようやくサイレンが止まる。この間の経緯が説明されることもなく、プールに戻ってよいという指示が出る。消防士が確認するまで警報を切ってはならないという規則があるのだろう。とにかく、分業制が確立され、役割以外のことをしないことを貴しとする国だからと、自分に言い聞かせる。航空会社など分業が徹底しているので、自分のフライトがキャンセルになって、代わりのフライトを予約するために長い行列に並んでも、窓口の担当社員は絶対に「迷惑をかけてごめんなさい」とは言わない文化である。たとえ同じ会社の社員であっても、自分の責任でないことは関係なしである。

 

警報が止み、頭痛も収まったので、500メートルの目標達成を目指し、再び、水の中に。車で30分以上かけてプールにやってきたので意地でも泳ぎ切らないと。なんとか目標を達成したが、中断時のストレスで、疲労感が襲う。わずか9ドルだが、払い戻して欲しいものだ。しかし、期待通り、予想通り、「申し訳なかった」の一言は聞けなかった。

 

こんな時、日本は素晴らしい国だと思うし、日本の文化を誇らしく思う。

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