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激減していく日本人留学生と急増する中国人留学生

今朝は吹雪となって寒々とした中、今日の読売新聞に、米国の大学や大学院に留学した国・地域別の留学生数に関する報道(http://www.yomiuri.co.jp/world/20141123-OYT1T50095.html)を読んで心まで冷え込んできた。米国のNPO法人・国際教育研究所が毎年調査し、公表しているものだ。第1位は中国で27万人を越え、米国への留学生の約3人に1人に相当する。第2位はインドで約10万人、以下、韓国、サウジアラビア、カナダ、台湾と続いている。1990年代には日本人留学生は4万人を越え、日本は第1・2位を競っていたが、今や半数以下の2万人弱で7位、中国からの留学生の7%に過ぎない。

G8かG7の時代ではなく、米中G2の時代となりつつある状況下で、このように留学生の数でも他を圧倒しつつあり、中国の米国における存在感は確実に拡大している。米国の大きな都市には、規模の大小はあるが中華街が存在している、ジャパンタウンは限られているし、規模も小さい。中国人に比して、日本人の数が圧倒的に少ないから仕方がないのだろうか。また、イリノイ州の運転免許試験場の筆記試験は、中国語やハングル語で書かれたものはあるが、日本語では受験できない。些細なことかもしれないが、心を寂しくする。

経済関係が大きくなればなるほど、2国間の政治的な関係もより強固になってくる。政治家に対する企業のロビー活動は、その経済活動の規模に応じて大きくなるのだろうから、それは必然ともいえる。したがって、現在のように中国の経済規模が大きくなり、米中間の貿易額が大きくなれば、米国における日本の存在感が低下するのも、その延長線上で考えれば不思議ではない。

そこで考えなければならないことは、国際的にどのような立ち位置で、日本の存在感を示していくのかである。日米関係を基軸にしていくことは当面変わらないだろうが、いろいろな国と交流関係を深化させることが重要だと思う。この観点で、日本政府が支援している国費留学生のあり方を再検討し、強化することが重要であると思う。5-6年前のある役所の会議で、表題のテーマでもある日本から米国への留学生支援拡大が議題としてあがった。積極的に送り出すことには賛成だが、留学経費を支援するだけでは問題解決にならないことは当時から明らかであった。

経済力強化の一環としてポスドク数を一気に増やしたが、国内でも就職先探しが大変な状況が続き、若者から「米国で一旗揚げて」という挑戦的な気持ちなど失せてしまったのだ。かつてのハングリー精神が消え去り、米国に留学すると戻れないという不安な心理が膨らんだ結果である。送り出すではなく、成果を挙げて帰ってくる際の一定の保証でもしない限り、留学生減少傾向に歯止めがかからないだろう。

送り出すのが難しいなら、アジア、アフリカからの国費留学生に対する支援の質を改善し、その数を拡大するのはどうだろうか。現在の国費留学生支援のレベルでは、日本で汲々とした生活をせざるを得ない。日本と日本人をよく知って、日本の良さを母国で宣伝してほしいと願うなら、今のままではよくない。これらの優秀な人材が日本好きになって、母国で活躍すれば、長期的にそれらの国との関係もよくなるだろう。

これには数十年の歳月を要するかもしれないが、これこそ国家戦略ではないのか?予算をばらまいて味方につけることは短期的には必要かもしれないが、金の切れ目が縁の切れ目になりかねない。長期的な展望に基づいた布石ができないものか?

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