東京大学・シカゴ大学医学部連携

今週はじめから、急激に寒くなり、昨日は最高気温が0度を超えなかった。あと数日間、このような気候が続きそうだ。寒かった昨冬と比較しても、1ヶ月ほど季節が早く進んでいる。私は寒くなると頭が回りにくくなるので、このままのペースで気温が下がり続けると、頭が冬眠してしまうのではと不安になる。グローバルな温暖化と言われても、この局所的な寒冷化を前にしては、全く実感が沸かない。

この寒さの中、昨日、東京大学医学部・医科学研究所とシカゴ大学医学部の連携協定のため(すでに調印は6月に終わっているが)、医学部の宮園浩平医学部長、間野博行教授、医科学研究所の村上義則副所長、宮野悟教授がシカゴ大学医学部を訪問された。宮園教授と間野教授にはセミナーもお願いした。

宮園先生は、私が東京大学に移った後、がん研究所の生化学部長(私の後任)に就任された。単に、先輩後輩というだけではなく、研究者としてだけでなく、人間的にも思慮深く尊敬できる人物である。日本のがん研究を一緒に牽引してきた宮園先生と、シカゴでこのような形で同席できることが嬉しい。間野先生は、私たちの次世代を担う、日本の代表的ながん研究者である。クリゾチニブという肺がんの薬を開発するきっかけとなった、ALK遺伝子異常を発見した研究者として世界的に高名である。この薬の治験を受けるため、日本からソウルに出向いて治療を受けた患者さんの話を聞くたびに、涙腺が緩む。

村上先生は、私がユタ大学を去ったあとに、ユタ大学に留学された。レイ・ホワイト教授に仕えた兄弟弟子である。宮野先生は十年以上にわたってヒトゲノム解析センターで働いてきた同士であり(今も協力していただいてお世話になっている)、私の後任のセンター長である。最近、医科学研究所の影が薄くなってきたのが心配だが、お二人には、是非、研究所が輝きを取り戻せるように頑張って欲しい。

日本で仕事をしていた際には、いろいろな省庁の方々に助けられてきたが、今回、初めて外務省にお世話になった。と書くと大げさと叱られるかもしれないが、この提携を後押しするため、シカゴの日本総領事が、私邸に、東京大学のメンバーとシカゴ大学の医学部長、内科主任教授、がんセンター長などを招いて夕食会を開催してくれた。もちろん、大学間の私的な交流は重要である。しかし、日本の国際的な立ち位置を考えれば、日米の大学間交流を、このような形で応援していただける意義・意味は非常に大きいと思う。

今の私の役割は、若手研究者を支援しつつ、研究を通して患者さんに貢献することに加え、日本の存在感を示すためのお手伝いをすることだと思っている。国と国の協力といっても、個人個人での連携の積み重ねがなくては成り立たない。個人レベル、組織レベルでの信頼関係の醸成が無くては、国と国との信頼関係が強化されることはないと思う。その意味では、昨日は少しは日本という国のためにお役に立てたのではないかと満足感の残る一日であった。

事前に「東京で一番寒い日を想定した服装を準備してください」と伝えていた。しかし、一日中氷点下の日など、東京ではない。少しの距離だが、「凍てつくような」気候の中を歩かせて、申し訳なかったと反省している。

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