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佐世保同級生殺害:容疑少女の父が自殺

犯罪者の親が自殺するケースは、日本では決して珍しいことではない。しかし、このような事例を見聞するたびに胸が切なくなる。今回のケースは高校生で監督責任が親にあるにせよ、子供の犯した罪の責任を親が死を持って償う必要があるのだろうか?

 

事件が起こるたびに、メディアは犯罪者の親に取材して責任を追及し、ネットでは匿名に名を借りて好き放題に誹謗中傷があるようだ。人気司会者だったみのもんたさんの場合でも、30歳を過ぎた息子の犯罪によって、マスコミから袋叩きにされ、番組の降板を強いられた。しかも、芸能界を見る限り、子供の犯した罪に対する親への責任の追及は平等ではない。所属事務所の力の強さが左右されるようだ。

 

いずれにせよ、今回のケースのように容疑者が特定された後に、その親のプライバシーまで丸裸にされ、誹謗中傷される社会が、健全な社会とは思えない。誰かが死を持って償わない限り、執拗に攻め続ける異常な状況は、理化学研究所の小保方問題とも共通する。罪に対する責任は、特に当事者が成人であれば、当事者自身が問われるべきであって、親や上司までさらし者にされる必要などない。この少女の父親の死に対して心からご冥福をお祈りしたい。

 

と言いつつ、やはりテキサス州のエボラ出血熱患者が重体となったニュースが気にかかる。2次感染が起こると、オヘア空港という全米屈指のハブ空港が存在するシカゴに在住する身としては、他人事ではなくなる。日本の富山化学が開発したインフルエンザに対する薬剤が、エボラ出血熱にも有効である可能性があるとして、フランスで利用された。患者は回復して退院に至ったという。他の薬剤との併用であったとのことだが、日本の薬が役に立ったのであれば喜ばしいことだ。

 

その一方、憂慮すべきことは、エボラ出血熱などの危険度の高い病原体を研究できる拠点、高度安全実験施設BSL-4(biosafety level4)、が日本にはないことだ。正確にいうと、国立感染症研究所と理化学研究所筑波研究所にはBSL-4施設はある。しかし、地元住民の合意が得られないために、レベル3で運用されており、レベル4に相当する封じ込めが必要なエボラ出血熱のような場合は、施設を利用することができず、日本国内では研究ができない。

 

ちなみに、レベル4の実験施設のある国は、欧米ではアメリカ合衆国(十数施設)を始め、イギリス、スイス、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、スゥエーデン、カナダなど、そして、オーストラリア、ロシア、南アフリカである。アジアでも、インド、シンガポール、中国、台湾にはBSL-4施設が稼働している。国として必要なものが、個人(周辺住民)の利益と相反する時、日本では起こるかもしれないリスクを恐れるあまり、公的な利益が損なわれることが多い。

 

もし、エボラ出血熱が日本に上陸した時にどうするのか、診断も海外の機関に任せるのか、そして、未承認だが効果の期待できる薬剤を利用する方策をどうするのか、議論しておく必要がある。東北大震災の後、避難所などで嘔吐・下痢などを引き起こすノロウイルス感染が広がるのを防ぐため、米国がワクチンの提供を申し出たが、日本では承認されていないという理由で断ったという。緊急事態の際に、命を守ることを優先して判断するという基本的な考え方ができていない。公と私のバランス、緊急事態での対応、もっとまともに議論すべきではなかろうか?

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