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錦織圭で蘇る98年前の武士道

雑事

錦織圭が全米オープンで決勝戦まで進み、その活躍によって、98年前に活躍した清水善造選手の武士道精神が取り上げられた(9月5日の産経オンライン)。対戦相手の米国の選手が転んだのを見て、遅いボールを打ち返し、それを見事に打ち返されてポイントをとられたが、観客から万雷の拍手が起こったという話である。武士道というだけで、軍国主義と顔を顰める新聞社がありそうだが、この「武士の情」の話は誇らしく思う。

 

これを読んで、すぐ頭に浮かんだのは、ロサンゼルスオリンピックの際の山下泰裕選手の決勝戦である。山下選手が足を引きずって畳に上がる姿に胸が締め付けられるような思いで画面に見入っていたのを鮮明におびえている。相手のエジプトの選手は、山下選手の痛めた足を責めることはしなかった。これを否定する人もいるようだが、柔道の素人の私には、弱点を責めなかったように映った。エジプトの選手に柔を通して、武士道精神が伝わったと思った。そして、山下選手が金メダルを授与された時には、勝利に胸が熱くなると共に、エジプトの選手の武士道精神にありがとうとそっとつぶやいた。

 

シカゴに移り住んでからは、日本にいた時よりも日本人選手の活躍に胸躍ることが多い。大リーグの田中、ダルビッシュ、黒田、岩隈、上原選手やゴルフの松山英樹選手の活躍を見ていると「日の丸」精神が高揚する。松山選手が優勝した時には、後半に崩れだしたうえに、最後はクラブを折ってしまったので、いったいどうなるかとハラハラドキドキした。不思議なことに、他の上位選手も、次々と崩れだし、解説のジャック・ニクラウスが、プレーを説明するよりも、「信じられない」を繰り返し、言葉を失っていたのが印象的だった。プレーオフで勝った時には、うれしいという思いより、ホッとした思いが強かった。ニクラウスが唸るようなすごいプレーヤーに成長してほしい。石川遼も負けるな。

 

このようにトッププレーヤーとして活躍している選手よりも気になるのが、大リーグで苦労している和田・藤川両投手(シカゴ・カブス)と川崎宗則選手(トロント・ブルージェイズ)である。和田選手は、大リーグのボルティモア・オリオールズに移籍後、メジャーの公式戦で投げることなく、肘を痛め、2年間一度もメジャーで登板することなく、カブズとマイナー契約で移籍した。7月になにげなくテレビのスイッチを入れた時に(シカゴにはカブズとホワイトソックスの2チームがあり、テレビではこの2チームの試合が中継される)、元気な姿を見て「頑張れ」と声援を送った。藤川選手も阪神にいたころの勢いを取り戻しで欲しいものだ

 

川崎選手はイチローにあこがれてシアトル・マリナーズに移籍したものの、イチローはすぐにシアトルを去った。私なら、取り残された時点で心が折れていたように思う。2012年のシーズン終了後、マリナーズとの契約も更新されず、行き場を失った。2013年にはマイナー契約でトロントに移り、マイナーとメジャーの昇降を繰り返していた。いつもはひょうきんな川崎選手が、昨年の6月頃に円形脱毛症を起こしていたと聞くと、相当なストレスがかかっていたのではと同情したくなる。今年は6月以降メジャーで活躍しているが、ぜひ、イチロー2世と呼ばれるように頑張って欲しい。川崎1世と呼ばれれば、もっといいが。

 

二十数年前には、ゴルフの岡本綾子選手の活躍に刺激され、自分を励ましていた。多くの米国在住の日本人は、多くの日本人大リーガーや松山選手、今回の錦織選手の活躍によって「日本人の誇り」を呼び起こされたに違いない。錦織選手の最後の一戦は残念だったが、決勝戦という檜舞台に立つ日本人の姿を見るだけで十分だ。田中投手、ダルビッシュ投手がひじの故障で戦線を離脱し、上原投手も最近精彩を欠いているが、われわれ日本人を鼓舞するために、彼らの復活を望んでやまない。

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