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「昭和の歌」と「義理と人情」

「次の世代に伝えたい昭和の名曲」という番組をDVDで見ていた。平成と呼ばれる時代になって26年目となったが、私にとっては昭和と呼ばれる時代に過ごした年数の方がまだまだ長い。昭和の歌100曲を耳にしながら仕事をしていたが、青春時代のいろいろな思い出と重なるためが、気が散って仕方がない。高校時代、大学時代のことも蘇るが、カラオケと共に過ごした外科医時代の場面と重なると、思わず画面に目がいってしまう。

 

オフコースの「さよなら」を聴くと、走馬灯のように複数の思い出が一気に頭を駆け巡る。テレサ・テン、山口百恵、サザンオールスターズひとつひとつの歌がほろ苦い思いを呼び起す。大阪府立病院で60時間連続勤務の後に看護婦さんたちと行ったスナック、今は亡き先輩医師と一緒に行った小豆島内海町の田んぼの中にあったスナック(他に娯楽はまったくなかった)、手術後に同級生と一緒に行った堺東の飲み屋さん。私は音痴だが、私の同級生はとびきり歌がうまく、彼が看護婦さんの送別会で歌った松尾和子の「再会」という歌に、みんなが思わずホロリとした。私も「いい日旅立ち」を歌ったように記憶しているが、いい歌でも下手だと、全く感動を生まない。

 

下手な私だが、歌うことは好きである。アリス、郷ひろみ、加山雄三なども歌ったが、一番良く歌ったのは松山千春の歌だ。「恋」「長い夜」「季節の中で」「大空と大地の中で」「人生の空から」など、よく口にした。私は松山千春の歌だけでなく、その人となりが大好きだ。鈴木宗男代議士が、マスコミから袋叩きになった時、彼は批判にさらされながらも、決して鈴木氏の支援をやめなかった。人気商売であれば、影響を気にして距離を置くのが当然と思われる中、それを気にせず、今の日本人が無くしつつある「義理と人情」を貫き通した。今の時代、「恩義に感ずる」は死語になってしまったかもしれないが、松山千春にそれを見た。一度、お会いして、一緒に「季節に中で」を歌ってみたいものだ。

 

娘との思い出では、松山千春の「君を忘れない」という歌がすぐに頭に浮かぶ。すでに30歳で一児の母になったが、娘が中学時代に不登校になりかけたころに流行っていた曲で、口論の末に、「父親失格だ。」と言われた言葉が、この歌を聴くと頭に浮かび、今でも胸に突き刺さる。土曜日も、日曜日も働き続け、父親らしいことを何もしてやれなかったことを申し訳なく思っている。今は、帰国するたびに仲良く食事をしているが、「君を忘れない」を耳にすると、自然に目が潤んでしまう。

 

脱線した話を元に戻すと、「実るほど頭の下がる稲穂かな」も通用しない時代になった。地位が上がった途端に人格が豹変する人が周りに多くなった。立場が下の人には滅法強くでるが、上の人には滑稽なくらい低姿勢の人を見ると、思わず心の中で笑ってしまう。いい年をして、いつまでも私のように、突っ張った不器用な生き方をすると、 自然に敵が増えるので決して褒められるような生き方ではない。しかし、「恩」を大切にし、「義理と人情」を忘れず、「大義」に生き、「実るほど」頭を下げる、「気骨のある」若者が出てきてほしいと強く願っている。

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