嵐の前の静けさ

前回の日本癌学会の際には、直前のベトナム訪問の食中毒を引きずり、今回の日本癌治療学会時には風邪で咳と熱に苦しみ、散々な日本出張が続いている。今、羽田空港で、これからシカゴに戻るところだが、階段を上がると息切れがする。少し回復はしてきたが、…

  胃がんに対する抗PD-1抗体治療;効果はPD-L1に関係ない???

日韓台のアジアグループによる、PD-1抗体を利用した胃がんの臨床試験の結果がLancet誌に公表された。一流の臨床系雑誌にアジアのデータが報告されるのは誇らしいことだ。少し残念だったのは、責任著者が国立がんセンター中央病院の医師であったにもかかわら…

がん治療を変革する「ネオアンチゲン」と「リキッドバイプシー」

Google Scholarで「ネオアンチゲン」「リキッドバイオプシー」を検索すると、前者は2013-2015年間で約1670件ヒットしたのに対し、2016年1390件、2017年は今日の時点で1430件であった。「リッキドバイプシー」は2013-2015年で1200件のヒットが、2016年13,800…

ゲノム研究を過小評価した罪は大きい!

今週号のNature誌に、まれな遺伝子多型(非常に少数の人で見られる遺伝暗号の違い)が、遺伝子の発現レベルに影響しているという論文”The impact of rare variation on gene expression across tissues”が報告された。Genotype-Tissue Expression (GTEx)(遺…

進むも地獄、退くも地獄だが??!!

日本ではいよいよ総選挙がスタートした。希望の党の小池百合子氏が都知事を辞めて立候補するかどうか、日本中の注視が集まっていたが、どうも立候補しないようだ。確かに、都知事を辞職すれば大きな批難が巻き起こっていただろうが、ここまで来て立候補しな…

免疫療法報道の愚;リテラシーなきメディア

またまた、馬鹿メディアがやらかした。NHKが「厚生労働省が地域のがん治療の中核に指定している拠点病院のうち全国の少なくとも12の病院が、がん治療の効果が国よって確認されておらず保険診療が適用されていない免疫療法をおととし実施していたことが、N…

ワシントン大学で9臓器のがんにネオアンチゲン療法

今日、午後4時からワシントン大学(セントルイス)のSchreiber教授のセミナーがあった。タイトルがPersonalized Immunotherapyだったので、時差ボケと闘いながら講演を聞きに行った。2-3年前にもシカゴ大学で講演したことがあったが、魅力的なタイトルに惹か…

シカゴに戻る;民間でがん治療を動かそう

ハノイ・東京(正確には横浜)11日間の出張を終えて、ようやくシカゴに戻ってきた。帰国日も朝から会合、そして、1時間の講演会をこなし、夕方の成田―シカゴ便で午後3時頃にオヘア空港に戻ってきた。 土曜日の夜に、友人であるJun Wang氏(前Beijing Genome …

「味噌も糞も一緒」党になるのか?

明日、ようやくシカゴに戻る。やっぱり疲れた。今年は、あと4回日本に戻る予定だが、考えるだけで、気が重くなる。シカゴは、異常気象で来週も気温30度を超えそうだ。しかし、今が踏ん張りどころだ。人に任せると、後始末が大変な状況が生ずるので、自分で頑…

肝臓がんと胃がんに免疫チェックポイント抗体が承認

初めてのベトナムだが、運転マナーの悪さには驚くばかりだ。多くのバイクが道路を左へ右へと走り、右折左折時には、いつ衝突するのかとビクビクするような状況だ。また、大気汚染は中国ほどでもないがかなりひどい。しかし、ベトナムの若者たちは元気だし、…

初めてのベトナム訪問

シカゴは、紅葉・黄葉がかなり進んでいるにもかかわらず、明日から1週間ほど30度を超えるとの予想で、歴史的な暑さとなりそうだ。温暖化というよりも、明らかな異常気象である。そして、私は、今、また、また、また、また、オヘア空港にいる。羽田経由で、ベ…

CD4細胞を利用したTCR導入T細胞療法

1ヶ月ほど前のJournal of Clinical Oncology(米国臨床腫瘍学会の雑誌)に「Treatment of Patients With Metastatic Cancer Using a Major Histocompatibility Complex Class II–Restricted T-Cell Receptor Targeting the Cancer Germline Antigen MAGE-A3…

医療事故を起こす医師は謙虚でないのか?

ネットニュースを見ていると「下手過ぎる医師の恐怖、病室の惨劇はこうして起きた」というタイトルの記事があった。群馬大学付属病院で起きた医療事故に関して、首藤淳哉さんという著者がコメントをしていた(JB Press)。最後のほうに、「医療事故によって…

膵がんのリキッドバイオプシーは難しい?

テキサスを襲った台風の傷が癒える間もなく、強烈な台風がフロリダ半島に迫っている。この台風は、カリブ海の国々に大きな傷跡を残し、米国に迫っている。日本からは遠く離れているが、是非、復旧の支援をして欲しいと願っている。そして、フロリダでは、ト…

アニーは銃を取らなかった;「男女関係はない」が「離党する」はおかしくないか?!

民進党議員が、週刊誌の不倫報道を受けて、民進党を離党することになった。記者会見で「男女関係はない」と主張していたが、それならば、何故に離党しなければならないのか、合点がいかない。何もないなら、どうして冤罪だと堂々と主張しないのだろうかと思…

世界大学ランキングに見る沈み行く日本

シカゴはすでに日本の晩秋のような気候で、昨朝の最低気温は10度まで下がった。1泊2日のサンディエゴ出張でクタクタになった重い体で、急に冷え込んだ中を歩くのは結構つらいものがある。しかし、少し、色づき始めた木々のなかを歩くのは爽やかなもので、歩…

CAR-T細胞療法475,000ドル(約5000万円)!天文学的になるがん治療費

今、サンディエゴにいる。シカゴの家を出てから、片道7時間。アメリカは広いと実感するには十分だ。某バイオベンチャーと共同研究の可能性を探るためだ。しかし、1泊2日で、往復14時間以上は高齢者には厳しいものがある。今日は夕食、明日の朝は、会社で会…

北朝鮮6回目の核実験;面子を潰された米中首脳

ついにと言うか、やっぱりと言うか、北朝鮮は核実験を行った。水素爆弾の可能性が高い。10日ほど前、トランプ大統領は「われわれは金正恩をレスペクトしているし、彼らもわれわれをリスペクトしている」とスピーチで述べた。ホンマかいなと思ったが、やっぱ…

米国FDAがペムブロリズマブ(抗PD-1抗体)と他剤との併用で注意喚起

8月31日付けで、米国FDAはペムブロリズマブ(抗PD-1抗体)とデキサメサゾン(ステロイド)+免疫調節薬(レナリドマミド 、ポマリドミド)との併用に対する注意喚起を行った。ペムブロリズマブとこれらの他の薬剤を利用した、多発性骨髄腫に対する2つの臨床…

米国FDAがCAR-T細胞療法を承認

8月9日のブログで予告したが、今日、米国FDAは急性リンパ性白血病に対するCAR-T細胞療法を承認した。そして、「The U.S. Food and Drug Administration issued a historic action today making the first gene therapy available in the United States, ushe…

子宮頸がんワクチン報道;科学的素養に欠けるメディアの愚

前回に続き、日本のメディアに欠ける科学的素養について、子宮頸がんワクチンをテーマに述べたい。8月26日付けの毎日新聞が「 子宮頸がんワクチン ウイルス感染に9倍の差 再開求める」との日本産科婦人科学会の声明を報道した。一方、NHKは「子宮頸がんワク…

臍帯血輸血で逮捕;日本のメディアは最低だ?

民間クリニックが他人の臍帯血を国に無届けで投与していた問題で逮捕された。面白いことに、メディアによって取り上げる角度が微妙に異なる。「再生医療安全性確保法」違反には間違いないが、無届けで行われたことが問題なのが、白血球の型(HLA)が合わない…

相対する事実(Alternative facts)時代における医学教育への課題

8月21日号の「New England Journal of Medicine」誌に「Medical Education in the Era of Alternative Facts」という論文が掲載されていた。気に入らないニュースを「フェイクニュース」と批判し、捻じ曲げた妄想を「Alternative Fact」として主張する時代が…

リキッドバイオプシーはがん医療変革につながる!

先週号の「Science Translational Medicine」誌に「Direct detection of early-stage cancers using circulating tumor DNA」(早期段階のがんでも、血中を流れているがん細胞由来のDNAを利用して検出できる)というタイトルの論文が掲載された。 このブログ…

某新聞社の無神経記事

私は絶対に某新聞系の記事は読まないが、ネットニュース記事のタイトル「女子マネジャー死亡、『呼吸』誤解? AED使ってれば」に目を取られて、思わず、読んでしまった。そして、腹が立った。 新潟県のある高校の野球部の女子マネジャーがランニング直後…

効果があるのか?ないのか?

先週号のNew England Journal of Medicine誌に「Olaparib for Metastatic Breast Cancer in Patients with a Germline BRCA Mutation」という論文が掲載されていた。PRAPはDNA修復などに重要な分子であり、このPARP阻害剤、オラバリブ(Olaparib)は一部のタ…

いつから医者は大丈夫と言えなくなったのか?

「コードブルー」という番組を見た。ネットに泣かせる話と書いてあったが、子供の心臓移植を待っている医師家族の姿は、確かに胸にジーンときた。しかし、私はこの番組の中に隠された意図を感じた。単なる救急ヘリの物語ではなく、今の医療の抱えている課題…

キメラ抗体治療法(CAR-T細胞療法)の壁+北朝鮮危機

日本の防衛省が「北朝鮮はすでに核弾頭を準備している可能性がある」と言ったことが大きな話題になっている。トランプ大統領は、北朝鮮の「ワシントンに重大な教訓を知らしめてやる」という脅しに、「これ以上米国を脅すと、北朝鮮を大変な目に合わせるぞ(N…

医療機関はサイバーアッタクに備えを!

昨日は、14度まで温度が下がった。普段と同じようにスーツの上下を着て行ったのだが、北風が吹いていることもあり、アパートを出た途端、「寒ゥ~」という感じだった。もっと暖かくしてとも思ったが、面倒なので、そのまま大学に向かったが、手がかじかんで…

「ゲノム編集で遺伝病を治療する」の愚

Nature誌に「Correction of a pathogenic gene mutation in human embryos」という論文がオンラインで公表された。受精卵に存在する遺伝性疾患の遺伝子異常部分を、ゲノム編集という手法を利用して正常遺伝子に置き換えることに成功したという話だ。私は、科…