医療(一般)

膀胱がんに対する遺伝子治療????白衣を着た詐欺師に騙されるな!

今朝、ネットニュースを見ていたら、有名なアナウンサーが膀胱がんに罹患して、膀胱全摘手術を勧められたが、手術を拒否して遺伝子治療を受けているとあった。膀胱がんに遺伝子治療????これまでに米国で承認された例などないので驚いた。そこで「膀胱が…

日本癌学会「高額医療費問題」パネルディスカッション

今、成田空港にいる。10日間にわたる日本出張を終え、ようやく、シカゴに戻ることができる。この10日間、目が回るように忙しかった。岡山での日本胸部学会、日本癌学会に参加し、その間を縫って、人工知能企業やリキッドバイオプシー・シークエンスに関連す…

人工知能・ゲノムががん医療現場を変える

月曜日の読売新聞の夕刊に、私がフロンティアという企業と一緒に、人工知能を利用して最適の治療薬を選択するシステムを作ると報道された。「選択」は医師と患者さんが話し合った上でされるべきなので、正しい表現は「考えうる選択肢を提示する」である。分…

朝早く起きること。一生懸命に努力すること。

今日の昼食時に、St. Jude Children’s Research HospitalのプレジデントであるJames R. Downing博士の講演があった。St. Jude小児病院は全米屈指のというより、世界をリードする小児病院と言っても過言ではない。小児腫瘍のゲノム解析を世界の先頭を切って開…

治療困難な病気を治療可能にするための挑戦

9月19日米国FDAはデュシャンヌ型筋ジストロフィーの治療薬EXONDYS 51を承認した。全く治療法がなかった遺伝性疾患に対する初の治療薬だ(現実的には治療薬候補に等しいが)。この病気は、X染色体にあるジストロフィンという遺伝子の異常によって起こる。ジス…

991人の尊厳死

シカゴは先週の真夏のような気候から一転し、朝は20度を切る気温で、来週には15度前後まで下がる。木の葉は少し彩りを変え、急速に秋の気配を濃くしつつある。こんな気候でも、オフィスには冷房が入っている状態で、頭がくらくらしてくる。そして、短い秋の…

2015年度医療費41.5兆円;的外れな日本での議論

日本の医療費がついに40兆円を越えた。しかし、高齢化率が進んでいる状況では、40兆円を越えることは予測済みのはずだ。高齢者の割合はますます増えてくるので、2020年には50兆円を越えるかもしれない。GDPに対する割合が増えていることを憂慮する声もあるよ…

がん患者の積極的参加を謳った「Moonshot」計画案

昨日、米国癌学会を通して「CANCER MOONSHOT BLUE RIBBON PANEL REPORT 2016(DRAFT)」が公表された。米国ではバイデン副大統領が先頭に立って「Moonshot」計画を推進することを受けて、がん研究者は活気づいている。今のペースでは10年かかることを5年に短縮…

ガラパゴス日本

台北松山空港から羽田空港へ向かう機内でこのブログを書いている。台風12号の影響で、台北からほぼ真東に向かい、石垣島や宮古島の少し北、沖縄島の南を過ぎてしばらくしてから北東に向かう経路で、普段より時間がかかりそうだ。 一昨日は国立台湾大学、昨日…

乳がん再発ハイリスク患者を遺伝子診断すれば化学療法不要??

ようやく、台北のホテルにたどり着いた。一昨日は自宅―シカゴオヘア空港を往復しただけだったが、結構これが堪えている。シカゴー成田行きの機内で、背部痛が起こり、湿布を張って少し楽になったが、いったん出直しとなった出張はやはり疲れる。台北で3泊し…

先を読めない指導者たち

先週の「Nature」誌に「Analysis of protein-coding genetic variation in 60,706 humans」というタイトルの論文が掲載された。6万人の遺伝子多型情報(エキソン解析結果)をまとめたものである。結果そのものには、驚くような内容が含まれているわけではな…

オピオイド系鎮痛薬の蔓延

今日は、シカゴ大学医学部全体の催し物として、米国のSurgeon General (公衆衛生局長官)や上院議員を招いた講演会(パネルディスカッション)が開かれた。テーマは「中等度や高度の疼痛に対する治療薬として利用されているオピオイド系鎮痛薬の蔓延にどのよ…

放射線被ばくへの不安を軽減するために;医療従事者のためのカウンセリングハンドブック

大横綱の千代の富士関も膵臓がんには勝てなかった。私と3歳違いで、ちょうど医師としての修行を始めた頃から活躍が始まった。決して大きくはなかった体で、大横綱と活躍した姿が懐かしい。そして、依然として5年生存率が10%を切るこのがんをなんとか退治した…

DNA修復遺伝子異常は転移性前立腺がんの危険因子

今年のシカゴの夏は比較的涼しい日が続いて、過ごしやすい。今日のネットニュースの(ちなみに私は産経新聞・読売新聞が中心だ。築地の新聞は絶対に読まない)「宮嶋茂樹の直球&曲球」というコラム、「“自称ジャーナリスト”言うとることがボケボケ 正直ホッ…

16倍量の投与で副作用死????

都知事候補者である鳥越氏が、演説に訪れた伊豆大島で「島嶼部の消費税を5%にするよう国に働きかける」とぶち上げたとニュースで流れていた。消費税は東京都の権限外と付け加えていたそうだが、鳥越氏を推薦している政党は、この考えを支持するのかはなは…

乳癌再発予防薬アロマターゼ阻害剤長期服用;効果・副作用の二者択一

シカゴもすっかり夏の気候になり、30度を越える日が続いている。1年目の夏は、40度近い暑さの日が続き、うんざりとしたが、2年目以降はそのようなうだるような暑さにはなっていない。今回、出張から帰国後の2日間はあまり時差を感じなかったが、3日目のー昨…

新規がん罹患数100万人超え;これでいいのか日本のがん医療は

国立がん研究センターが、我が国の2016年度の新規がん罹患者数が、100万人を超えるとの予測を発表した。死亡者数予測は37万人を超えるとのことだ。以前にも述べたが、日本では、がんが死亡原因の第1位となったのは1971年である。それを受けて、対がん10か…

医療庁??!!

ようやく、香港から日本にたどり着いた。お腹の調子は戻ったが、まだ、体に力が入らない。無事に発表は終えたが、45分の発表、15分の質疑応答は少々きつかった。5年前までは、年間に60回前後講演をこなしていたが、やはり歳には勝てない。長旅は控えなければ…

分子標的治療薬+これまでの抗がん剤>抗がん剤単独

今、シカゴ・オヘア空港にいる。香港に向かうところだ。日本では、いよいよ参議院選挙だ。改憲勢力が憲法改正発議に必要な3分の2を超えるかどうかが焦点になっているようだが、おかしな話だ。3分の2は発議に必要な議員の数であって、憲法を改正するかどうか…

急激に進むゲノム医療;米国FDA、フランス、リキッドバイオプシー

3連休に部屋をきれいに片づけようと無理をしすぎたのがたたり、肩が凝り、背筋痛がかなり強かったので、イブプロフェンという薬剤を飲んで職場に出かけた。途中で、ふわふわとした気分になり、足がおぼつかなくなったので立ち止まって休憩した。その時、「そ…

世界に発信できる『日の丸』がん治療を(4)-人工知能

シカゴに来て、5度目の米国独立記念日を迎えた。この1週間は、比較的涼しく、最高気温が25度を下回る日が多かった。今日は、朝から曇天で、外を歩くと心地よい。大学ヘ向かう道筋は、祝日でひっそりと静まり返っており、人影はまばらであった。今日のような…

免疫チェックポイント抗体の効果を予測する!?

今日、OncoImmunologyという雑誌に、われわれのグループと熊本大学の福島聡先生たちを中心とするグループの共同研究の成果が公表された。http://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/2162402X.2016.1204507. 論文のタイトルは、「Intratumoral expression …

世界に発信できる『日の丸』がん治療を(3)-DNAシークエン技術の進歩

前回は親から子に伝わるゲノム・遺伝子情報について述べたが、今回は遺伝情報の変化(変異)によって起こるがんについて述べる。がんは遺伝子異常の積み重ねによって起こる病気である。10年前には、それぞれの患者さんで起こっている遺伝子異常をすべて知る…

世界に発信できる「日の丸」印のがん治療を

明日の夕方の便で、再び、日本に帰国する。明日から開催される日本乳癌学会で講演するためだ。会長のがん研有明病院乳腺センターの岩瀬拓士先生から、日本の医師・研究者を元気づける講演をして欲しいという依頼があって、お引き受けした。講演内容について…

“America will not forget”“DEC. 7, 1941”?!!

先日、自宅からシカゴ・オヘア空港に向かう高速道路で、何気なく外を眺めていると”America will not forget"“SEPT. 11, 2001”の文字が目に飛び込んできた。 同時多発テロはアメリカ人にとって深い傷になっているのだと思った瞬間、その左側に“DEC. 7, 1941”…

上空1万メートルで考えた「すべての患者に思いをはせる」

今、成田空港から羽田空港に向かっている。最終便で高松に向かうところだ。明後日の朝には、成田空港からシカゴに戻る。日本の午後7時、シカゴは午前5時なので、頭はボーとしていて、ほとんど働かない。若い時は順応性は高かったが、今は全く駄目だ。実は、…

がん医療のキーワード「ゲノム・個別化・人工知能・予防」-(2)

オバマ大統領の広島でのスピーチを、ビデオニュースで見た。謝罪がなかったなどと批判をする声があるようだが、私は素晴らしいスピーチだったと思う。日本には、いつまでも謝罪を求め続ける文化はない。ましてや、日本の戦後の復興は米国の援助なしには語れ…

がん医療のキーワード「ゲノム・個別化・人工知能・予防」-(1)

抗免疫チェックポイント抗体が高額であることが、今頃になって波紋を広げている日本であるが、海外でも、同様の問題が提起されている。高額ながん治療薬やその利用に関連して、「Nature Reviews Clinical Oncology」6月号に掲載された二つの論文の話題を取…

免疫チェックポイント抗体治療に対する「姥捨て山」論の愚

米国では、CTLA-4抗体、PD-1抗体、PD-L1抗体の3種の免疫チェックポイント抗体薬が承認され、これ以外の抗体治療薬の開発も進んでいる。抗体医薬の他にも、免疫抑制に働く、IDO(Indoleamine-pyrrole 2,3-dioxygenase;インドールアミン-2、3-ジオキシゲナー…

抗PD-L1抗体薬アテゾリズマブが米国FDAによって承認

今日、米国FDA(Food and Drug Administration;医薬品食品局)は、抗PD-L1抗体医薬品であるアテゾリズマブ(atezolizumab)を承認した。これまでに紹介してきた抗PD-1抗体ではなく、「世界初」の抗PD-L1抗体の承認である。対象となった疾患は、すでに標準療…

生死を分けた感染患者の免疫反応;エボラ出血熱

シカゴは瞬間的に夏のような気候になったが、この1週間程度、ほとんど太陽が見えない不順な天気が続いている。この様な気候条件でも、建物内にはすでに冷房が入っているので、どの会議・講演会に参加しても体が冷え込んでしまい、会議後に体力消耗感を覚える…

連日の「Precision Medicine」講演会

今週は2日間連続で「Precision Medicine」の講演会があった。演者の一人はマサチューセッツ・ジェネラル・ホスピタル(ハーバード大学)のチープフィジシャン、もう一人は医療保険会社に属する研究者であった。後者は、David Ledbetter博士で、30年近く前に…

高額がん治療薬の衝撃???

産経新聞に「1剤が国を滅ぼす」高額がん治療薬の衝撃 年齢制限求む医師に「政権がもたない」という記事が出ていた。最後には「だが、効果の有無が事前に分からない以上、オプジーボに望みを託す患者を選別することは難しい。その薬価は、患者すべての期待に…

がん撲滅に向けた情熱を!

ニューオリンズ出張の疲れが取れない。週末をはさんで学会があると、12日間休息が取れないので、体力的に厳しくなってきた。1年間364日間働き続けたのが、遠い夢のように思えてならない。今考えると、よくあれだけ働き続けることができたものだと思う。ニュ…

若年発症成人型糖尿病に対するオーダーメイド医療

また、熊本で大地震が起こった。熊本大学には、私の研究室で研究していた医師がいるし、それ以外にも多くの知人がいる。幸いにも人的被害はなかったようだが、研究室は大きなダメージを受けたと連絡が入った。5年前の震災の際に東京で経験した震度5でさえ、…

ジカ熱は予測していたよりも危険!

米国のCDC(Center for Disease Control and Prevention)は、「ジカ熱は当初考えていたよりも危険だ」とコメントした。予想していたよりも、北限が広がっており、すでに30州に及んでいる。また、Science誌には、ジカ熱ウイルスが神経細胞に直接障害を与える…

新鮮果物摂取は心血管疾患リスクを下げる?!

中国で実施された膨大な数の人を追跡調査した研究成果が、先週の「New England Journal of Medicine」に発表された。2004年から2008年にかけて登録された中国10地域の30-79歳512,891名のデータである。登録以前に心血管疾患と診断された既往歴がなく、高血圧…

激変する気候の中で考える

土曜日は吹雪が舞っていたが、日曜日は快晴、南風で午後5時頃には22度まで気温が上がった。そして、一夜明けた今朝は1度で、12時間で約20度の気温低下だ。今日の午後は、また、吹雪いていた。これは、シカゴに来てから体験する、最も目まぐるしい気候の変化…

女性ホルモン補充療法・子宮頸がんワクチン

昨日、夕食から帰り、テレビをつけるとANAインスピレーションという米女子ゴルフのメジャー大会の様子が放映されていた。2日間、首位タイだった宮里藍選手の様子が気になっていた。残念ながら、私が見た時には、昨日の7アンダーのままで、2打引き離されてい…

すい臓がんの光線力学的治療(Photodynamic therapy)

昨日の内科講演会ですい臓がんに対する光線力学的治療(Photodynamic therapy ;PDT)の紹介があった。何年か前に、聞いたことがあるが、副作用である光線過敏症の症状が強く出た患者さんの写真を見て、これは難しいと思った記憶がある。光線力学的治療とは…

シカゴに来て4年;人生の引き際・散り際を考える

今日はきれいに晴れ上がってすがすがしい気候だ。通勤路にも、白、紫、黄色の花が咲き始め、歩いていて気持ちがよかった。 そして、今日でシカゴに来て、ちょうど4年になる。長いような、短いような4年間であった。この時期になると日本が恋しくなる。それは…

(続)挑戦を許さない日本社会

前回の「挑戦を許さない日本社会」の続編だ。少し古くなるが3月10日号の「New England Journal of Medicine」誌に「Survival Benefit with Kidney Transplants from HLA-Incompatible Live Donors」という論文が掲載されていた。臓器移植・骨髄移植ではHLA(…

挑戦を許さない日本社会

日本に少し長く滞在しすぎたためか、時差ぼけが、いつもより格段に厳しい。午後11時に寝込んで、午前1-2時に目覚める日が続いている。こんな厳しい条件下で、昨夜は共同研究者の胸部外科医と夕食を共にした。彼とは、お互いに尊敬できる間柄だ(ただし、彼が…

がん抗体治療薬自由診療:これでいいのか、日本のメディアは?

今、久しぶりの墓参をすませ、帰りの新幹線に乗っている。品川から米原まで新幹線に乗り、在来線を乗り継いで、片道で3時間弱かかるのは、少し体にこたえるが、お彼岸だし、タイミングはぴったしだ。数年間の親不孝な反省して、墓前に手を合わせてきたところ…

人の一生は重荷を負うて、遠き道を行くがごとし

昨日の日曜日から、夏時間が始まった。日本では「夏時間」と呼ぶが、米国で「Summer Time」と言っても通じない。少し長いが「Day light saving time」と呼ばれる。「太陽の光を大切にするための時間」、すなわち、仕事が終わった後でも、日の光を楽しむ時間…

患者さんからの期待

1か月ほど前に、フランス人の医師から、「学会でシカゴに行くので、もし、時間が取れるなら会いに行きたい。OTS964(TOPK阻害剤)について話を聞きたい。」とメールがあった。「日曜日のプライベートな時間で申し訳ないが・・・・」と添えてあったので、今日…

予期せぬ感染症に対する備えは大丈夫か?

米英の臨床系雑誌「New England Journal of Medicine」と「Lancet」誌から、「ジカ熱ウイルス感染と小頭症を含む胎児発育異常」、「ジカ熱とギランバレー症候群」の関連を強く示唆する報告がなされた。 前者は、2015年9月から2016年2月の期間に登録された88…

18カ国でのがん治療薬価格比較;最大5倍の差?!

「Lancet Oncology」誌の1月号に、がん治療薬31種類の18カ国での価格比較が報告されていた。残念ながら、日本のデータは含まれておらず、ヨーロッパ16カ国とオーストラリアならびにニュージーランドの比較である。がん治療薬は非常に高額なので、たとえ数十%…

ゲノム編集と遺伝子操作;胎児のゲノム編集は許されるのか?

遺伝子を壊して、遺伝子の働きを調べるノックアウト法は、生命科学分野で多大なる貢献を果たしてきた。その功績が認められて、私のユタ大学時代の知人であるマリオ・カペッキィ氏は2007年にノーベル医学生理学賞を受賞した。これらの技術で、遺伝子組み換え…

高齢者に対する男性ホルモン補充療法の効果?

今日も、卵巣がん患者さんから直接電話がかかってきた。「私は、もう、治療法がなくなった。OTS964の治験は始まっているのか。始まっているなら、どうすれば治療を受けられるのか?」こんな連絡を受けるたびに、期待通りに進まない事態に心が痛む。米国がん…