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世界に発信できる『日の丸』がん治療を(4)-人工知能

シカゴに来て、5度目の米国独立記念日を迎えた。この1週間は、比較的涼しく、最高気温が25度を下回る日が多かった。今日は、朝から曇天で、外を歩くと心地よい。大学ヘ向かう道筋は、祝日でひっそりと静まり返っており、人影はまばらであった。今日のような…

免疫チェックポイント抗体の効果を予測する!?

今日、OncoImmunologyという雑誌に、われわれのグループと熊本大学の福島聡先生たちを中心とするグループの共同研究の成果が公表された。http://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/2162402X.2016.1204507. 論文のタイトルは、「Intratumoral expression …

世界に発信できる『日の丸』がん治療を(3)-DNAシークエン技術の進歩

前回は親から子に伝わるゲノム・遺伝子情報について述べたが、今回は遺伝情報の変化(変異)によって起こるがんについて述べる。がんは遺伝子異常の積み重ねによって起こる病気である。10年前には、それぞれの患者さんで起こっている遺伝子異常をすべて知る…

世界に発信できる「日の丸」印のがん治療を

明日の夕方の便で、再び、日本に帰国する。明日から開催される日本乳癌学会で講演するためだ。会長のがん研有明病院乳腺センターの岩瀬拓士先生から、日本の医師・研究者を元気づける講演をして欲しいという依頼があって、お引き受けした。講演内容について…

“America will not forget”“DEC. 7, 1941”?!!

先日、自宅からシカゴ・オヘア空港に向かう高速道路で、何気なく外を眺めていると”America will not forget"“SEPT. 11, 2001”の文字が目に飛び込んできた。 同時多発テロはアメリカ人にとって深い傷になっているのだと思った瞬間、その左側に“DEC. 7, 1941”…

上空1万メートルで考えた「すべての患者に思いをはせる」

今、成田空港から羽田空港に向かっている。最終便で高松に向かうところだ。明後日の朝には、成田空港からシカゴに戻る。日本の午後7時、シカゴは午前5時なので、頭はボーとしていて、ほとんど働かない。若い時は順応性は高かったが、今は全く駄目だ。実は、…

がん医療のキーワード「ゲノム・個別化・人工知能・予防」-(2)

オバマ大統領の広島でのスピーチを、ビデオニュースで見た。謝罪がなかったなどと批判をする声があるようだが、私は素晴らしいスピーチだったと思う。日本には、いつまでも謝罪を求め続ける文化はない。ましてや、日本の戦後の復興は米国の援助なしには語れ…

がん医療のキーワード「ゲノム・個別化・人工知能・予防」-(1)

抗免疫チェックポイント抗体が高額であることが、今頃になって波紋を広げている日本であるが、海外でも、同様の問題が提起されている。高額ながん治療薬やその利用に関連して、「Nature Reviews Clinical Oncology」6月号に掲載された二つの論文の話題を取…

免疫チェックポイント抗体治療に対する「姥捨て山」論の愚

米国では、CTLA-4抗体、PD-1抗体、PD-L1抗体の3種の免疫チェックポイント抗体薬が承認され、これ以外の抗体治療薬の開発も進んでいる。抗体医薬の他にも、免疫抑制に働く、IDO(Indoleamine-pyrrole 2,3-dioxygenase;インドールアミン-2、3-ジオキシゲナー…

抗PD-L1抗体薬アテゾリズマブが米国FDAによって承認

今日、米国FDA(Food and Drug Administration;医薬品食品局)は、抗PD-L1抗体医薬品であるアテゾリズマブ(atezolizumab)を承認した。これまでに紹介してきた抗PD-1抗体ではなく、「世界初」の抗PD-L1抗体の承認である。対象となった疾患は、すでに標準療…

生死を分けた感染患者の免疫反応;エボラ出血熱

シカゴは瞬間的に夏のような気候になったが、この1週間程度、ほとんど太陽が見えない不順な天気が続いている。この様な気候条件でも、建物内にはすでに冷房が入っているので、どの会議・講演会に参加しても体が冷え込んでしまい、会議後に体力消耗感を覚える…

連日の「Precision Medicine」講演会

今週は2日間連続で「Precision Medicine」の講演会があった。演者の一人はマサチューセッツ・ジェネラル・ホスピタル(ハーバード大学)のチープフィジシャン、もう一人は医療保険会社に属する研究者であった。後者は、David Ledbetter博士で、30年近く前に…

高額がん治療薬の衝撃???

産経新聞に「1剤が国を滅ぼす」高額がん治療薬の衝撃 年齢制限求む医師に「政権がもたない」という記事が出ていた。最後には「だが、効果の有無が事前に分からない以上、オプジーボに望みを託す患者を選別することは難しい。その薬価は、患者すべての期待に…

がん撲滅に向けた情熱を!

ニューオリンズ出張の疲れが取れない。週末をはさんで学会があると、12日間休息が取れないので、体力的に厳しくなってきた。1年間364日間働き続けたのが、遠い夢のように思えてならない。今考えると、よくあれだけ働き続けることができたものだと思う。ニュ…

若年発症成人型糖尿病に対するオーダーメイド医療

また、熊本で大地震が起こった。熊本大学には、私の研究室で研究していた医師がいるし、それ以外にも多くの知人がいる。幸いにも人的被害はなかったようだが、研究室は大きなダメージを受けたと連絡が入った。5年前の震災の際に東京で経験した震度5でさえ、…

ジカ熱は予測していたよりも危険!

米国のCDC(Center for Disease Control and Prevention)は、「ジカ熱は当初考えていたよりも危険だ」とコメントした。予想していたよりも、北限が広がっており、すでに30州に及んでいる。また、Science誌には、ジカ熱ウイルスが神経細胞に直接障害を与える…

新鮮果物摂取は心血管疾患リスクを下げる?!

中国で実施された膨大な数の人を追跡調査した研究成果が、先週の「New England Journal of Medicine」に発表された。2004年から2008年にかけて登録された中国10地域の30-79歳512,891名のデータである。登録以前に心血管疾患と診断された既往歴がなく、高血圧…

激変する気候の中で考える

土曜日は吹雪が舞っていたが、日曜日は快晴、南風で午後5時頃には22度まで気温が上がった。そして、一夜明けた今朝は1度で、12時間で約20度の気温低下だ。今日の午後は、また、吹雪いていた。これは、シカゴに来てから体験する、最も目まぐるしい気候の変化…

女性ホルモン補充療法・子宮頸がんワクチン

昨日、夕食から帰り、テレビをつけるとANAインスピレーションという米女子ゴルフのメジャー大会の様子が放映されていた。2日間、首位タイだった宮里藍選手の様子が気になっていた。残念ながら、私が見た時には、昨日の7アンダーのままで、2打引き離されてい…

すい臓がんの光線力学的治療(Photodynamic therapy)

昨日の内科講演会ですい臓がんに対する光線力学的治療(Photodynamic therapy ;PDT)の紹介があった。何年か前に、聞いたことがあるが、副作用である光線過敏症の症状が強く出た患者さんの写真を見て、これは難しいと思った記憶がある。光線力学的治療とは…

シカゴに来て4年;人生の引き際・散り際を考える

今日はきれいに晴れ上がってすがすがしい気候だ。通勤路にも、白、紫、黄色の花が咲き始め、歩いていて気持ちがよかった。 そして、今日でシカゴに来て、ちょうど4年になる。長いような、短いような4年間であった。この時期になると日本が恋しくなる。それは…

(続)挑戦を許さない日本社会

前回の「挑戦を許さない日本社会」の続編だ。少し古くなるが3月10日号の「New England Journal of Medicine」誌に「Survival Benefit with Kidney Transplants from HLA-Incompatible Live Donors」という論文が掲載されていた。臓器移植・骨髄移植ではHLA(…

挑戦を許さない日本社会

日本に少し長く滞在しすぎたためか、時差ぼけが、いつもより格段に厳しい。午後11時に寝込んで、午前1-2時に目覚める日が続いている。こんな厳しい条件下で、昨夜は共同研究者の胸部外科医と夕食を共にした。彼とは、お互いに尊敬できる間柄だ(ただし、彼が…

がん抗体治療薬自由診療:これでいいのか、日本のメディアは?

今、久しぶりの墓参をすませ、帰りの新幹線に乗っている。品川から米原まで新幹線に乗り、在来線を乗り継いで、片道で3時間弱かかるのは、少し体にこたえるが、お彼岸だし、タイミングはぴったしだ。数年間の親不孝な反省して、墓前に手を合わせてきたところ…

人の一生は重荷を負うて、遠き道を行くがごとし

昨日の日曜日から、夏時間が始まった。日本では「夏時間」と呼ぶが、米国で「Summer Time」と言っても通じない。少し長いが「Day light saving time」と呼ばれる。「太陽の光を大切にするための時間」、すなわち、仕事が終わった後でも、日の光を楽しむ時間…

患者さんからの期待

1か月ほど前に、フランス人の医師から、「学会でシカゴに行くので、もし、時間が取れるなら会いに行きたい。OTS964(TOPK阻害剤)について話を聞きたい。」とメールがあった。「日曜日のプライベートな時間で申し訳ないが・・・・」と添えてあったので、今日…

予期せぬ感染症に対する備えは大丈夫か?

米英の臨床系雑誌「New England Journal of Medicine」と「Lancet」誌から、「ジカ熱ウイルス感染と小頭症を含む胎児発育異常」、「ジカ熱とギランバレー症候群」の関連を強く示唆する報告がなされた。 前者は、2015年9月から2016年2月の期間に登録された88…

18カ国でのがん治療薬価格比較;最大5倍の差?!

「Lancet Oncology」誌の1月号に、がん治療薬31種類の18カ国での価格比較が報告されていた。残念ながら、日本のデータは含まれておらず、ヨーロッパ16カ国とオーストラリアならびにニュージーランドの比較である。がん治療薬は非常に高額なので、たとえ数十%…

ゲノム編集と遺伝子操作;胎児のゲノム編集は許されるのか?

遺伝子を壊して、遺伝子の働きを調べるノックアウト法は、生命科学分野で多大なる貢献を果たしてきた。その功績が認められて、私のユタ大学時代の知人であるマリオ・カペッキィ氏は2007年にノーベル医学生理学賞を受賞した。これらの技術で、遺伝子組み換え…

高齢者に対する男性ホルモン補充療法の効果?

今日も、卵巣がん患者さんから直接電話がかかってきた。「私は、もう、治療法がなくなった。OTS964の治験は始まっているのか。始まっているなら、どうすれば治療を受けられるのか?」こんな連絡を受けるたびに、期待通りに進まない事態に心が痛む。米国がん…

日米連携が米中連携に置き換わる日??

日米癌学会では、90分ずつの各セッションで日米の代表が一人ずつ講演し、さらに日米いずれかの若手がひとり発表するスタイルが定着している。今回は10回目になるが、1990年前後の最初の2-3回は米国側サイドの研究内容が優位で、日本は米国から学ぶ形であった…

マウイ島の非日常

昨日から、日米癌学会のため、マウイ島に来ている。この学会は3年に一度開催され、今回は第10回の記念大会だ。私は日本側の代表として1時間近い発表をしたところだ。シカゴ大学に在籍している今、日本の代表として発表することは躊躇したが、私は日本を愛し…

アルツハイマー病にも免疫活性化が有効?

今週末のシカゴは寒波に襲われ、気温はマイナス20度近くまで下がり、昼頃から雪が舞っている。明日のハワイ行きのフライトに支障がないことを願いつつ、このブログを書いている。土曜日にシカゴに戻ってくころには、10度近くまで暖かくなるので(東京基…

認知症は予防できるか!?

今日の「New England Journal of Medicine」誌に、「Framingham Heart Study(フラミンガム心臓研究)」で調査された認知症発症率に関する論文が掲載されていた。このフラミンガム研究は、第2次世界大戦が終わって間もない1948年に、マサチューセッツ州のフ…

睡眠時間と肥満・糖尿病・高血圧

今、ニューハンプシャー州の予備選結果が出だ。予想通り、民主党はバーニー・サンダース氏、共和党はドナルド・トランプ氏が勝利した。負けたヒラリー・クリントン氏と勝者のサンダース氏の演説を聞いたが、米国の政治家は、内容の是非はともかく、一部の政…

「しぶとく」勝利できる研究者を育てよ

今日は、米国でスポーツ観戦が最も盛り上がるアメリカンフットボール決勝戦のあるスーパーサンデーであった。デンバー・ブロンコスとキャロライナ・パンサーズの対決だった。シーズン中は、15勝1敗と無敵と言っていいような強さを誇っていたパンサーズだ…

予防的乳房切除は有用なのか、おぞましいのか?

2013年に、女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが、遺伝性乳癌遺伝子異常が陽性だったことを受け、予防的に乳房切除を受けたことで、一躍有名になったのが遺伝性乳癌だ。図らずも、日本の科学リテラシーの低さ、医療メディアのレベルの低さを露呈させた報道…

ジカ熱流行によるWHO緊急事態宣言

「ジカ熱」という聞き慣れない感染症が広がり、WHOが2月1日に緊急事態宣言を出した。流行地は中南米であり、ジカウイルス感染は蚊が媒介するので、他人事と思っていたが、今日、フロリダ州の一部で緊急事態宣言が出されたし、テキサスでは性的接触による…

「安い」薬ではなく、「有効な」薬の優先を

どうも体調が優れないので、思い切って糖尿病の薬を変更してみた。すると1週間ほどで、空腹時血糖は正常範囲内に落ち着いてきた。シカゴに来る前に処方されたジペプチジルペプチダーゼ阻害剤という種類の薬剤を服用していたが、短期間は調子はよかったが、運…

医療ミスを繰り返す医師

この1週間ほどの暖かさで(と言っても東京よりは寒いが)、眼下に広がるミシガン湖を覆っていた氷や科学博物館の南側の池の氷もすっかり姿を消した。今週末の最高気温予想は7-8度だ。平年よりも10度くらい高い。このまま、春になってほしいと願うばかりだ…

これでいいのか、年間医薬品貿易赤字額2.46兆円

1月というのに、外は雨が降っている。米国東海岸では記録的な大雪となり、日本では沖縄でも雪が降ったにもかかわらず、雪ではなく、雨だ。昨年、一昨年の冬では考えられないような異常気象だ。しかし、日本の医薬品貿易赤字は、予想通りの数値だった。 財務…

世界にひとつだけのゲノム

SMAPが、解散するとか、しないとかが、日本のメディアを沸かしているようだ。私が「膨大な患者さんの臨床情報やDNAを収集する」バイオバンク・ジャパン(オーダーメイド医療実現化)プロジェクトを始めた2003年に、「世界に一つだけの花」というSMAPの歌を耳…

大腸がん患者の術後化学療法は有用か?

元トロント・ブルージェイズの川崎宗則選手が、マーナー契約だがシカゴ・カブズと契約したとネットニュースに出ていた。川崎選手は、イチロー選手を慕って太平洋を渡りマリナーズに移籍したが、数ヶ月後にイチロー選手がニューヨーク・ヤンキースに移り、そ…

米国にあり、日本にない、医療の進歩に必要な評価制度

とにかく寒い。出勤時がマイナス18度、帰宅時もマイナス14度だった。バス停までの百メートルほど歩くだけで、鼻水が流れてくる。完全防備で体は寒さを感じないが、顔がヒリヒリして、気のせいか、胸に圧迫感を感ずる。過去2年ほどには寒くはないのだが、今年…

自分で開発した薬剤を、自分主導で治験

今日の昼、米国NCI(国立癌研究所)のHassan博士の講演会があった。彼は、メゾテリンという中皮腫(Mesothelioma)で見つかった分子をもとに、20年間研究を続けている医師研究者である。発見当初は、中皮腫というがんで特異的に発現していると考えられていたが…

オバマ大統領「米国はがんを治癒させる国だ!」;悔しくないのか、日本の首相は!

シカゴは最低気温が華氏0度(摂氏マイナス18度)に近い天候が続いている。さすがに歩いて通勤という無謀なことはしない。昨日は研究所から病院の講義室に外を歩いていったが、わずか100メートルの距離でも体の芯まで冷え込む。心筋梗塞で野垂れ死にすればい…

新規抗がん剤開発の停滞?;2015年米国FDA承認を受けたがん治療薬

2015年新規抗がん剤開発は、免疫チェック阻害剤に大きな注目が集まった反面、独創的新薬という観点からみると全体的には足踏み状態であった。ちなみに、下記は2015年度に米国FDAが承認した抗がん剤を月別にしたリストだ。 2月 panobinostat(ヒストン脱アセ…

オバマ大統領「Precision Medicine」宣言から1年;中国は米国を凌ぐか?

シカゴは急激に冷え込み、今朝の最低気温はマイナス17度、体感温度マイナス22度となった。さすがに、歩いての通勤は諦めて、バスで大学に向かった。家からバス停、バス停から研究所まで、合計で約200メートル程度歩いただけだが、鼻の中がヒリヒリする。…

他人由来のiPS細胞を治療に;神格化された再生医療???

シカゴはようやく平年並みになり、昨日、今日の出勤時はマイナス5度程度となった。この寒さでも、完全装備で朝は歩いて出勤している。シャツやズボンの下に、ダウンの下着を着ると意外に暖かく、顔と頭はヒンヤリだが、首から下は到着することにはポカポカ…

(;´д`)トホホのクリスマス休暇

私は人生で初めての「クリスマス休暇」なるものを取った。カリブ海に面するリゾートで美しい海の眺めを楽しみながら、ゆっくり過ごし、気分は爽快のはずだったが、悔いと疲れが残った。 オールインクルーシブ(All inclusive)というシステムで、ホテル代に…