医療(がん免疫・免疫ゲノム学)

免疫薬理ゲノム学(1);一卵性双生児を区別する

私が米国に来てから取り組んでいる研究は、抗がん剤開発のための標的分子の解析と、免疫薬理ゲノム学である。後者は英語で「Immunopharmacogenomics」と命名している。これまでのゲノム研究は、遺伝性疾患やがんで起こっている遺伝子変化の研究が主であった…

がん免疫療法(4):変革期のがんワクチン療法-2

ペプチドワクチン療法は、がん細胞に特異的なタンパク質の一部分(ペプチド)を利用して、がん細胞だけを攻撃するリンパ球を増やすために設計された治療法である。前回示した、4種類に分類されるがん特異的タンパク質をもとに、免疫力を高める可能性のあるペ…

がん免疫療法(4):変革期のがんワクチン療法-1

がん細胞を殺す能力を持ったリンパ球の働きを高め、がん患者の治療成績を上げる目的で利用されるのががんワクチンである。「ワクチン」というと細菌やウイルスなどによる感染症を予防したり、重症化を防ぐもの、というイメージがあるが、ここでは、がんを治…

がん免疫療法(3):高額医薬品と医療費破産

免疫療法と言っても、いろいろな方法があるが、今、圧倒的に注目を集めているのが、免疫チェックポイント機能があるとされているCTLA-4, PD-1, PD-L1分子に対する抗体療法である。がん細胞を免疫細胞による攻撃から守るために重要な役割をしているのが、免疫…

がん免疫療法(2):「詐欺よばわり」から「第4の治療法」への道

最新の話を始める前に、記録に残る最初のがん免疫治療を振り返ってみたい。それは、なんと百数十年前に遡る。1885年全身に広がった骨肉腫(骨にできるがん)の腫瘍部に細菌感染が起こった(膿がたまっているような状況)。感染症の治療を続けるも、全身状態…

がん免疫療法(1):「詐欺よばわり」から「第4の治療法」への道

がんの「免疫療法」には、数十年にわたって、「いかがわしい」、「胡散臭い」、「ペテン」、「詐欺」などという、芳しくないレッテルが張られていた。私も外科医をしていたころから、免疫療法には悪い印象しか持っていなかった。1990年にがん細胞特異的な抗…