医療(がん免疫・免疫ゲノム学)

免疫療法報道の愚;リテラシーなきメディア

またまた、馬鹿メディアがやらかした。NHKが「厚生労働省が地域のがん治療の中核に指定している拠点病院のうち全国の少なくとも12の病院が、がん治療の効果が国よって確認されておらず保険診療が適用されていない免疫療法をおととし実施していたことが、N…

ワシントン大学で9臓器のがんにネオアンチゲン療法

今日、午後4時からワシントン大学(セントルイス)のSchreiber教授のセミナーがあった。タイトルがPersonalized Immunotherapyだったので、時差ボケと闘いながら講演を聞きに行った。2-3年前にもシカゴ大学で講演したことがあったが、魅力的なタイトルに惹か…

肝臓がんと胃がんに免疫チェックポイント抗体が承認

初めてのベトナムだが、運転マナーの悪さには驚くばかりだ。多くのバイクが道路を左へ右へと走り、右折左折時には、いつ衝突するのかとビクビクするような状況だ。また、大気汚染は中国ほどでもないがかなりひどい。しかし、ベトナムの若者たちは元気だし、…

CD4細胞を利用したTCR導入T細胞療法

1ヶ月ほど前のJournal of Clinical Oncology(米国臨床腫瘍学会の雑誌)に「Treatment of Patients With Metastatic Cancer Using a Major Histocompatibility Complex Class II–Restricted T-Cell Receptor Targeting the Cancer Germline Antigen MAGE-A3…

CAR-T細胞療法475,000ドル(約5000万円)!天文学的になるがん治療費

今、サンディエゴにいる。シカゴの家を出てから、片道7時間。アメリカは広いと実感するには十分だ。某バイオベンチャーと共同研究の可能性を探るためだ。しかし、1泊2日で、往復14時間以上は高齢者には厳しいものがある。今日は夕食、明日の朝は、会社で会…

米国FDAがペムブロリズマブ(抗PD-1抗体)と他剤との併用で注意喚起

8月31日付けで、米国FDAはペムブロリズマブ(抗PD-1抗体)とデキサメサゾン(ステロイド)+免疫調節薬(レナリドマミド 、ポマリドミド)との併用に対する注意喚起を行った。ペムブロリズマブとこれらの他の薬剤を利用した、多発性骨髄腫に対する2つの臨床…

米国FDAがCAR-T細胞療法を承認

8月9日のブログで予告したが、今日、米国FDAは急性リンパ性白血病に対するCAR-T細胞療法を承認した。そして、「The U.S. Food and Drug Administration issued a historic action today making the first gene therapy available in the United States, ushe…

キメラ抗体治療法(CAR-T細胞療法)の壁+北朝鮮危機

日本の防衛省が「北朝鮮はすでに核弾頭を準備している可能性がある」と言ったことが大きな話題になっている。トランプ大統領は、北朝鮮の「ワシントンに重大な教訓を知らしめてやる」という脅しに、「これ以上米国を脅すと、北朝鮮を大変な目に合わせるぞ(N…

急性骨髄性白血病の新薬エナシデニブ+融合細胞を利用した免疫療法

トランプ政権は、相も変わらず、理解不能だ。10日前に任命された広報部長が辞任した(というより、解任された)。下品な言葉で他人を罵倒していたので、解任される可能性を前回のブログで指摘したが、思いの他、解任まで短かった。有事の際、米国がまともな…

二重特異性抗体を患者体内で作り出すがん治療法

半年ほど前に、二重特異性抗体の白血病治療への応用を紹介した。今回は、二重特異性抗体そのものを注射するのではなく、二重特異性抗体を作り出すmRNAを静脈注射して、肝臓に取り込まれたmRNAが二重特異性抗体を作り出す形にしても治療効果があった話だ。7…

CAR-T細胞療法承認に向けて

米国医薬品局(FDA)の 「Oncologic Drugs Advisory Committee」 はCATR-T細胞療法に 「the treatment could be approved by the FDA by the end of September, forging a new path in the immunotherapy frontier.」と推薦した。もうひとつの新しい免疫療法…

無治療ステージ4非小細胞肺がんに対するニボルマブ;抗がん剤に優位性なし

これまで独走の感のあった免疫チェックポイント抗体治療に少しブレーキがかかった。無治療のステージ4非小細胞肺がんに対するニボルマブ対プラチナ系抗がん剤の比較試験結果がNew England Journal of Medicineに報告された。 エントリー基準はPD-L1の発現が…

二つの事実+評価が二転三転の免疫療法

コミー元FBI長官の議会での証言とトランプ大統領の発言が完全に対立している。コミー氏は「食事は大統領から誘われた」「忠誠を求められた」「フリンの捜査をやめるように言われた」と言い、大統領は「コミー氏が求めてきた」「忠誠など求めたことがない」「…

Make Our Plant Great Again

トランプ大統領のパリ協定離脱宣言、解雇されたFBI元長官の議会での公聴会など、政治の話題が尽きない米国だ。G7や中国の首脳も、米国のパリ協定からの離脱を非難していたが、その中でも洒落た一言でトランプ大統領を皮肉っていたのが、フランスのマクロン新…

新しい免疫療法へ大きな潮流

シカゴの5月は寒い日が続いており、20度を越える日はまだないし、今後1週間も期待できない。昨日は最高気温9度と、東京では冬並みに冷え込んだ。 その昨日の夕方、オランダのアムステルダム大学のTon Schumacher教授の「T cell recognition of human cancer…

腫瘍内浸潤リンパ球(TIL)療法が効いた症例での抗原は?

先月号のScience誌に「Landscape of immunogenic tumor antigens in successful immunotherapy of virally induced epithelial cancer」という論文が公表された。これは、腫瘍内に浸潤しているリンパ球(Tumor infiltrating lymphocyte=TIL)を取り出し、培養…

ネオアンチゲン 対 細胞傷害性CD4細胞!?

シカゴは一気に春の陽気となり、今日は快晴で気温も20度近くまで上がるようだ。しばらく曇天が続いていたので、灰色だった湖面の色が、エメラルド色に輝き、気持ちも晴れやかになる。しかし、がんの免疫療法を巡る世界はますます難しくなってきた。 話は少…

がんの延命から治癒へ;プレシジョン医療―(4)

シカゴに戻っての1週間、体が鉛のように重かった。日本滞在中はかなり無理した自覚はあったが、歳には勝てない。そのためか、昨夜は12時間近く寝てしまった。こんなに長く寝た記憶はない。しかし、おかげで、霞がかかっていたような頭がスッキリとした。 今…

制御性NK細胞?!

今、シカゴ・オヘア空港にいる。私は長旅は嫌いだが、今週と来週の土曜日の講演会に加え、今回はプレシジョン医療を本格的に始動させるために、いろいろな方々とお会いする予定で忙しい。さらに、金沢への日帰りもある。土曜から土曜までの8日間で予定されて…

ムーンショット計画の行方

バイデン前副大統領が久々に公の前でスピーチをして、「私はがんを克服する大統領になりたかった」とコメントをした。そこれ気になるのが、がんの治癒を目指す「ムーンショット計画」の行方だ。計画に携わっている人によると、トランプ大統領も計画の内容自…

制御性T細胞を利用した・標的にした治療

火曜日の内科の学術講演会は「制御性T細胞」を利用した、あるいは、標的にした治療の話だった。免疫反応は、必要な時に活性化され、細菌やウイルス感染を抑えるが、不必要になると免疫反応のスイッチをオフにする必要がある。活性化と抑制の微妙なバランスが…

二重特異性抗体??による白血病治療

暖かい2月が終わった途端に急に冷え込み、昨日と今朝は雪が舞って、冬に逆戻りだ。気温は平年並みになっただけなのだが、体は、暖かさに鈍ってしまったのか、ついていけない。明日の朝はマイナス7度まで下がり、月曜日は19度まで温度が上昇する。ジェットコ…

ネオアンチゲンT細胞療法の歴史を学ぶ

今日、シカゴ大学で私たちが共同研究している、Hans Schreiber教授のセミナーがあった。彼は1995年にがんで起こっているミスセンス変異(遺伝子変異によってたんぱく質を構成しているアミノ酸が別のアミノ酸に変わる異常)が、リンパ球ががん細胞を攻撃する…

KRAS遺伝子異常(G12D)+ HLA-C*08:02を持つ患者へのT細胞療法

誕生日の日の昼食にリンゴを齧っていたところ、口の中でガリッと音がした。不吉な予感がして舌で歯を探ってみたところ、上の前歯にぽっかりと穴が開いている。波乱の1年の幕開けだ。リンゴはしばらく食べていなかったが、イタリアンマーケットで買ったリンゴ…

免疫チェックポイント抗体医薬品の大流行;日本はどうするのか!

今週号の「New England Journal of Medicine」誌に免疫チェックポイント抗体薬を利用した臨床試験の論文が3編も掲載されていた。利用されている抗体も対象となるがん種も異なる。その組み合わせは、頭頸部がんXニボルマブ、非小細胞肺がんXペンブロリズマブ…

マンモグラフィーは過剰診断につながるのか??????

日本癌学会が終わってシカゴに帰る頃には紅葉が進んでいると思っていたが、例年よりかなり気温の高い気候のためか、10月8日に戻った時には、9月末にシカゴを離れた頃とあまり変わっていなかった。しかし、一昨日から急に気温が低下し、出勤時の気温が6-7度ま…

的外れの高額がん治療薬問題ー2

前回に続き、高額がん治療薬の問題を取り上げる。下記に3ヶ月間治療を受けた場合の薬剤費を示したが、確かに、抗PD-1抗体(ニボルマブ)や抗CTLA-4抗体(イピリムマブ)はとんでもなく高額だが、桁外れに高額というわけでもないし、高額抗がん剤の問題も最近…

化学療法無治療の進行性非小細胞肺がんに抗PD-1抗体を投与すると?

9月1日発刊の米国臨床腫瘍学会雑誌に「Nivolumab Monotherapy for First-Line Treatment of Advanced Non–Small-Cell Lung Cancer」という論文が公表された。ニボルマブ(抗PD-1抗体)は、他の治療を受けた肺がんに対して、第2選択薬以降の治療法としてすで…

抗PD-1抗体、日米で続々と適応拡大

免疫チェックポイント抗体のひとつ、抗PD-1抗体の適応拡大が止まらない。日本では腎がんに対する適応が承認され、そして、米国では、今日8月5日に、頭頚部がんに対する適応が承認された。174名の患者中、腫瘍縮小は28名(16%)に認められ、28名中23名で効果…

ニューヨークタイムズ「免疫療法特集」

私の知人から、7月30日のニューヨークタイムズ第1面に「免疫療法の特集」が出ていると連絡があった。患者さんや医師へのインタビュー、免疫療法の歴史、科学的な作用機序など、かなり長文の特集であった。以前、このブログでも紹介した1890年代のコーリー博…