プレシジョン医療

免疫チェックポイント抗体の効果予測をリキッドバイオプシーでする!?

「Nature Medicine」誌に「Blood-based tumor mutational burden as a predictor of clinical benefit in non-small-cell lung cancer patients treated with atezolizumab」というタイトルの論文が掲載されていた。Atezolizumabは免疫チェックポイント抗体…

頭に来てもアホとは戦うな!

今週の月曜日から、がん研究会・がんプレシジョン医療研究センター所長として勤務している。内閣府のプロジェクトもあり、自宅・内閣府・がん研究会のトライアングルの通勤はかなり体に堪える。シカゴと比較すると気温は少ししか変わらないが、この纏わりつ…

乳がん治療薬タモキシフェン処方に対するガイドライン

今日のASCO(米国臨床腫瘍学会)からのニュースに「CLINICAL PHARMACOLOGY & THERAPEUTICS」という雑誌に「Clinical Pharmacogenetics Implementation Consortium (CPIC) Guideline for CYP2D6 and Tamoxifen Therapy」という論文が公表されたとあった。以前に…

シカゴで6年ー遺伝子パネルが全エキソン解析か?;全エキソン解析はがん患者や家族に希望が提供できる!

6年前の2012年3月29日に東京を経ち、シカゴに向かった。早いもので、もう、6年になる。まだ、50歳代だった私だが、60歳代の半ばになってしまった。そして、東京大学医科学研究所の凋落は著しく、理化学研究所ゲノム医科学研究所は名前が消え、バイオバンクジ…

リキッドバイオプシーのがんスクリーニングへの応用はまだ時期尚早か?+米国FDAが遺伝性乳がん・卵巣がん遺伝子のDTCテストを承認

2月中旬以降のシカゴは、比較的穏やかな日が続いている。最低気温もプラスで歩いての通勤が心地よい。しかし、時差ぼけが取れず、依然として午前3-4時に目が覚める日々だ。眠りにつくために、アルコールを飲むので、身体に悪いと知りながらも摂取量が増えて…

限られた数の遺伝子の解析か、全エキソン解析か?-1;ガラパゴス化以下のピンボケ日本

日本ではようやく限られた数の遺伝子パネルを用いた「ゲノム医療」が開始されようとしている。伝わってきた情報によると、1回当たり、50-100万円だそうだ。前回紹介した論文では、リッキドバイオプシーで61ヶ所を調べても500ドルを切ると書かれていた。こん…

プレシジョン医療-10; 500ドルでできるリキッドバイオプシーで、切除可能がんの70%を検出可能

Scienceの2月23日号に「Detection and localization of surgically resectable cancers with a multi-analyte blood test」というタイトルの論文が公表されていた。オンライン版は1ヶ月ほど前に出ていたが、見落としていた。8ヶ所の臓器の外科手術切除可能…

プレシジョン医療ー9; リキッドバイオプシーでのがんの早期診断は可能か?

リキッドバイオプシーでがんが見つけられるかどうか?結論はイエスだが、決して単純ではない。もし、リキッドバイプシーでp53遺伝子異常が見つかれば、どこかにがんが潜んでいる可能性はかなり高い。調べる方法によって疑陽性率が異なるが、血漿中の遺伝子断…

プレシジョン医療―8;リキッドバイオプシーの擬陽性・偽陰性率

検査には擬陽性と偽陰性の問題が常に付きまとう。「本来は腫瘍があるにもかかわらず、検査で陰性と判定されるのが偽陰性であり」、「腫瘍がないにもかかわらず、陽性と判定されるのが、擬陽性である」。リキッドバイオプシーは、この種の問題に関しては、こ…

がんプレシジョン医療ー7;がん細胞を見つける

この範疇には、ゲノム情報を利用して、「がんを早期診断すること」、「がんの再発を超早期に診断すること」、「手術後のがん細胞の残存を診断する」、「がん細胞を定量的に計測すること」などが含まれる。 これらを可能にしたのは、DNAシークエンス技術や遺…

がんプレシジョン医療ー6

私の考えるがんプレシジョン医療の全貌を下図に示す。これらは、 1.がん細胞を見つける 2.がんの治療薬を選択する(外科療法や放射線療法が第1選択肢の場合が多いが、それらは省く) 3.がん免疫療法を提供する の3要素から成り立つ。 「プレシジョン医…

がんプレシジョン医療入門-5;後天的遺伝子異常(体細胞変異)とがん

がんは遺伝子異常によって生ずる病気である。これは歴然たる事実であるが、がん種毎に、起こっている遺伝子異常数は下記の図のごとく、非常に違ってくる。乳がんと肺扁平上皮がんでは一桁違うし、一般的に小児で生ずるがんでは、遺伝子変異数は少ない。最も…

がんプレシジョン医療入門-4;遺伝的危険因子

遺伝的な危険因子を定義することは簡単ではないので、まず、わかりやすい例から紹介したい。食道がんには、喫煙と飲酒がリスク生活要因であることがよく知られている。これに、遺伝的危険因子が組み合わさった時に、食道がんのリスクがどのようになるのか図…

がんプレシジョン医療;入門-3

次に、がんの遺伝的要因について話を進めたい。日本では、十分な遺伝学教育、特に病気と遺伝子の関連性に関する教育、が欠けているため、がんの発症に決定的な役割を果たす因子(決定因子)とがん発症の確率をわずがに高める危険因子が混同されることが多い…

がんプレシジョン医療;入門-2

親から子へ受け継がれる遺伝子多型で、がん治療に関係するものも当然ある。有効性に関連するものとしては、乳がんの治療薬タモキシフェンと薬剤代謝酵素CYP2D6がある。これに関する研究は、相対する研究結果が多数発表されたが、結果的には、質の悪い研究が…

がんプレシジョン医療;入門-1

「プレシジョン医療」という言葉は、オバマ前米国大統領が2015年の一般教書演説で、「プレシジョン医療イニシアチブ」を提案したことから、広く利用されることになった。オバマ氏の発言を借りて、「プレシジョン医療」のゴールを説明すると、「the right tre…